腰塚レイコの
お着物ことはじめ
こんにちは、レイコです。髪をバッサリ切りまして、ショートどころか刈り上げスタイル。こんなヘアも着物となかなか相性が良いでしょ? 気に入っております。
さて季節も冬になってまいりました。連載三回目となる今回は、「冬のお出かけには黒い着物がオススメ」というお話です。
第三回:冬のお出かけに、ブラック着物のススメ。
洋服の世界には、フォーマルからパーティ、冠婚葬祭まで活躍する“リトル・ブラック・ドレス”というのがありますが、黒の着物となると喪服や留め袖のイメージが強くて、お洒落着として想定しづらいかもしれませんね。
でも見てください、本日のコーディネート。全身黒でも華やかさがあると思いませんか?
レース模様みたいな着物は「紋紗(もんしゃ)」という、絡み織りにした紗に地紋を織り出したもの。軽くて薄いので一般的には夏の着物とされていますが、私は裏地をつけて秋冬も着られるように仕立てています(これは裏地も黒にしていますが、好みで赤や紫にする方も。そうすると透かしの部分から色がのぞいて、それもまた素敵です)。浮かび上がる模様が立体的で表情豊かですよね。そこにレザーの帯ベルトとロンググローブ、そしてファーのビッグクラッチで異素材をプラスしました。足元は白でキリリと。白足袋は礼装用と言われますが、この雰囲気が好きなので…… 気にせずに履いてしまっています。
洋服もそうだと思うんですが、ワントーンコーディネートのポイントは、素材感、質感で遊ぶこと。異素材、ということで着物のドレスアップに便利なのが、ファー小物。着物にファーというと、成人式の振袖姿を思い浮かべる方も多いかもしれませんが…… あれはあれとしてもう少し大人の提案ね。まあ着物とファーは相性がいい。ファーの存在感に着物が負けないんですよね。だから洋服に合わせるにはちょっと突飛かなと思うインパクトのあるアイテムでも、すんなりはまってくれます。THE着物用じゃなくて洋服用のファー小物でも、どんどん合わせてみましょう。



ほかに黒い着物を垢抜けて見せる方法としては、ところどころにツヤをプラスすること。黒い着物でマットを合わせてしまうと、どうしても喪服のようなイメージに見えてしまったり、とても地味になってしまって「お出かけ着物」っていう感じじゃなくなってしまいます。
ツヤというのは便利なもの。光沢感があるだけで、なんだか少し色っぽい黒になるんですね。絹のツヤ、レザーのツヤ、ファーもツヤ…… さらにネイルやリップ、ピアスなんかでもツヤを足したり、ギラギラ系の派手なクラッチバッグをアクセサリー代わりに持つのもいいと思います。
冬は何と言ってもお正月がありますから、この時だけは着物を着るという方も多いんじゃないでしょうか。いわゆる晴れ着もよいですが、リトル・ブラック・ドレス感覚な大人の黒着物、年末年始のお出かけに是非トライしてみてください。



腰塚レイコ(こしづか・れいこ)
スタイリスト、ブランドディレクターを経て、フォトグラファーで旦那様でもある腰塚光晃さんと、着物セレクトショップ『KAPUKI』をオープン。自由でおしゃれでカッコ良い着物の着こなしを提案している。
http://kapuki.jp/
staff
editor : KEI YOSHIDA
photographer : SABURO YONEYAMA (SignaL)
designer : TOSHIYUKI SHINKE (Japan Designers Organization)