着物のきほん。

着物のいろは

着物にまつわるあれやこれやをもっと知ってみたいと思いませんか? 生地や柄、小物や着付けなど着物のことを1から分かりやすく解説します。 着物を知ると着こなすのがもっと楽しくなる『着物いろは』です。

第一回 着物の成り立ち -織りと染め-

着物は、幅40センチ弱、長さ13メートルの布(=反物と言います)を裁断し、仕立てることで出来あがった衣服。様々なフォルムがある洋服とは異なり、着物は同じフォルムをしているのが特徴です。そんな着物を知るためには、「染め」と「織り」を知ることがとても大切。なぜなら「染め」と「織り」を理解することで、着物や帯の種類が見分けられるようになり、そして迷うことなく着物と帯のコーディネートを組むことができるようになるからです。そのため、「染め」と「織り」を理解することは、着物を知る上での重要な第一歩と言えます。

 

まずは着物に仕立てる前の反物を例に、考えてみましょう。反物は糸を織ることで作られますが、白色の糸のみを使って織ると、白色で無地の反物が出来あがります。その白色の反物に、手描きで模様を描いたり、型を使って絵柄を染めた反物のことを、「染め」と言います。(反物にした後で絵柄などの色を染めるので「後染め」とも言います)
そして、もう一つ。白い糸だけでなく、様々な色の糸を使って織られた反物は、織りあがった時にはすでに絵柄が織り出されています。この反物のことを「織り」と言います。(反物になる前に、すでに糸の状態の時に染められているので「先染め」とも言います)
それぞれの特徴としては、「染め」は織りでは表現できない柔らかな線。絵柄の輪郭も滑らかです。対して、「織り」は絵柄の輪郭がモザイク状になっています。

染め

染めの生地は、白い糸を使い白生地を織り上げて、そこに色や柄などの染めを施した織物のことです。織りでは表現できない柔らかい線や絵柄の輪郭のなめらかさが特徴です。

染め生地が作られるまで

白糸(糸の種類は、主に「生糸」です)。
白い糸のまま織ります。
白生地の反物が織り上がります。
型を用いたり、手書きで絵柄を染めます。
「染め」の織物の出来上がり。 (反物に後から色柄を染めるので、「後染め」とも言います)

織り

織りの生地は、生地を織る前に糸を染めてから織ることによって模様を出す織物のことです。絵柄の輪郭がモザイク状になっています。

織り生地が作られるまで

白糸(糸の種類は主に「紬糸」です)。
白い糸を、他の色に染めます。
何色かの色糸を使って織ります。
「織り」の織物のできあがり。 (反物を織る前に先に色を染めるので、「先染め」とも言います)

大竹恵理子 おおたけえりこ/着物スタイリスト・着付師
父が大工、母が和裁士という家庭に生まれ育ったため、自然と日本文化に興味を持つ。長沼静きもの学院にて、一般的な着付けをはじめ、花魁などの時代衣裳、白無垢などの婚礼衣裳まで様々な着付けを学んだ後、(株)着物屋くるり入社。以降7年間、くるりのスタイリング・着付け全般を担当。独立後、フリーランスの着物スタイリスト・着付師として、広告、CM、雑誌などの媒体を中心に活動中。